あずゆづ。

落ち着いたのか、ひよりは私の胸ぐらからやっと手を離し、また頬杖をつく。


「んー……けど、そうやって休み時間にぴったり優樹くんと一緒にいるなら王子、誤解するんじゃない?」

「誤解?」

「あずってほんと救いようのないバカだよね」

「え、救って!?」

「だから、ほら。王子はあずのことが好きなんでしょ? なら、普段一緒にいるあんたたちのことを見て、付き合ってるのかな?とか、あずは優樹くんが好きなのかな?とか、どうしても思っちゃうと思うってこと」


そ、そうか。

ゆうちゃんから告白されて、でもゆづくんと一緒にいて筋肉の観察をするのが嬉しくて。

私にとっては、たったそれだけのことなのに……

ゆうちゃんにとっては、私がゆづくんといるだけでモヤモヤしちゃうってことだよね?

だからといって、ゆうちゃんに気を使ってゆづくんと距離を置けるほど簡単な話でもないし、彼の筋肉を間近で見たいという本能を抑えきれるかどうか……。


「あずは、優樹くんのことどう思ってるの?」

「パーフェクトマッスル……」

「は?」

「あ、いや……!!」


うわああ、唐突すぎる質問で思いっきり素直に答えちゃったけど、実際こういうときなんて言えばいいんだ!?


「す、素敵な筋肉をお持ちでいらっしゃると思ってます!!よ!?」

「……とりあえず、恋愛感情はないってことね?」

「あ、うん!!」


なんだ、そう答えたらよかったのか…。

ひよりも紛らわしい聞き方するんだから…。


「けどそれなら、優樹くんがあずを側に置く理由がますますわからないんだけど。

もしかして彼も、あずに気があるとか?」



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