あずゆづ。
私は、その言葉を最後まで聞く前から首を左右にブンブンと振った。
「それはない。ないよ。本当にない。今朝だって本人から『お前を女としてみるのはムリ』って言われたし」
「はあ?余計意味分かんない」
「それが深い深い理由のせいでデスね…」
「しかもそんなふうに言われて傷ついてないあずを見ると、やっぱり優樹くんに対しての恋愛感情も本当にないみたいね」
ああなるほど、と、ひよりは腕を組んで何かを考え始めた。
「なかなかめんどくさい状況だけど……王子が一番かわいそうね」
「う(ズキッ)」
「こんな天然ぽけぽけっ子のどこに惹かれたのかしら」
「うう……(ズキズキッ)」
ひより…相変わらず容赦ない…!!
「おいコラ!」
「ひっ」
我慢の限界とでも言ったような様子で、ゆづくんが私の方へずかずかと近寄って来ては大きな声をだしてきた。
驚いて肩をすくめると。
「いつまで話してんだ行くぞメガネ女」
「ふぁっ」
私の首根っこをつかんで軽々と持ち上げたゆづくん。
まって、まだリュック背負ってない。