あずゆづ。
……ねえゆづくん。
「くそ、てめえなんか、あのままどっか行っちまえばよかったんだ」
言ってることとやってること、違うよ?
言ってることはこんなにも荒いのに、
なんで……なんでこんなに優しく抱きしめてくれるの?
……変だよ、ゆづくん。
「……なのになんで、引き戻してんだ、俺……」
力なくそう呟いたあと、ぽすっとゆづくんの頭が、私の肩に乗せられた。
―――きゅうううんっ
「………!?」
きゅうううん!?
なんだ、この、胸が締め付けられるような感じは……!?
いよいよ病気!?
血圧はそんなに高くないはずなのに!!!
今日、色々ありすぎて、今この時感じている自分の感情がなんなのか、本当にわからなくなってきた。
「ばかやろー」
……ああ、そうか。
こんなに素敵な筋肉に、こうしてぎゅって、抱きしめられてるからだ……。
目を閉じて、思う。
もういっそ、このパーフェクトマッスルのせいにしてしまえ。
「……ごめんね、ゆづくん」
声に出したあと。
目を閉じながら、思った。
もしもゆうちゃんが、ゆづくんみたいな筋肉を持っていたら
今みたいにドキドキしてたのかな。
今みたいにはち切れそうなくらい、胸が苦しくなってたのかな。
ゆうちゃんの告白、迷わずに『いいよ』って言えたのかな。
……どうしよう。
私、自分がどうしたいのか、わかんないや…。
……好きとか、そういうの
今の私には……よくわからないよ……。