あずゆづ。

「……もう描かねえのか」

「ハイ?」


ゆづくんは、私からそっと目を離すと自分の首の後ろに手を回しながら続けた。

ほら。

いつもだったらこの仕草を見て、私はきっとゆづくんの腕の筋肉に釘付けになるはずなのに。


今は、ゆづくんがこれからなんて言うんだろう?って、次に出てくる言葉に集中してしまっている、


「だから! もう俺は描かねえのかって聞いてんだよ!!」

「………???」


ああ、

そうか。


そういえば最近、ゆづくんの筋肉のスケッチ、してなかったことに、今更気づいた。

ほら、どう考えても最近の私、やっぱりおかしいんだ。


「え、えと」


自分でも気づいていなかったことを言われたから。

なんて答えていいのかわからなくなって。

しどろもどろしていたときだった。


「……お前な」

「ハイ」


そっと、ゆづくんの手が、下を向いていた私の顎をつかむ。

そのままくいっと上げられ、ゆづくんの方を無理矢理向けられてしまった。



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