あずゆづ。


それなのに、目の前のゆづくんになんて声をかけたらいいのかわからずにいたとき。


「……お前が好きなのは、俺じゃねーのかよ」

「…………」

「……………」


しばしの沈黙が流れる。




私が


ゆづくんを


好き


!?


ゆづくんの言葉をひとつひとつ理解するのにだいぶ時間がかかった。

そして、なんて言ったのかやっとわかったとき。


「……へ!?」


驚きのあまり手を口元へ当てたまま1歩、2歩、ゆづくんから後ずさる。


ななな、何を突然言い出すかと思ったら……!?

私がゆづくんを好き!?

どこから!?

どこからどうやったらそうなったの!?

え!?



ゆづくんは、チッと舌打ちをしてから続けた。


「お前が!自分で言ってきたんだろ!?」


え!?

私が自分で……!?

いつ!?


「俺のすべてがまぶしいだとか、一目惚れしたとか…!!」


待って、確かにそれは言った。

言いました。

でもね、ゆづくん、ちょっと待って?


「あの……そ、そ、それは……ゆづくんの筋肉に対して……」

「……は?」


一気に丸く開けられるゆづくんの目。

しばらく流れる沈黙。



うわ、なんだこの状況…!!

すごく嫌な雰囲気になってしまったぞ!!?



< 89 / 204 >

この作品をシェア

pagetop