冬の日に
第一章
彼女の呼ぶ声が聞こえる
 
 だが、そこにはたどり着けない
 
 見失う。そして、時間は戻る。
 
 どれだけもがいても、頑張っても、
 消えていく
 
 それでも追いつこうと、願う。
 
 そこに永遠があると信じて──
 
 
 
 
 第一章 プロローグ
 
  「悠太!ごめん!待った?」

  「『待った?』じゃねーよ!!
 何なんだよこの時間!!後5分で
 授業始まるんだけど!?」

 「そんなに怒っても、時間は戻んないからね!?」

 走りながら、彼女とケンカする、こんな日常。
彼女の名前は、水沢花音。
小さい時からの幼なじみで、俺の片思い。ずっと一緒に居る。


遠くから聞こえる鐘の音。



 
  キーンコーンカーンコーン
 



 「うわああああああ!!」
 「授業始まった!急げ!!」
花音と一緒に居る。
 そんな日常が、何より幸せ。
 
 
・・・少なくとも、花音の涙の理由を知る
までは、そう思っていたんだ──





第一章.プロローグ・END




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