12時の鐘で消えた王子様
さっきまであんなに輝いていた目が、急に怒りと悲しみをもつ目となる。
「あんなところ、かえらないし。かえりたくもないし。とにかく、絶対かえらないんだから!」
「どうして?」
「わたし、おかあさんにだまってここにきたの。」
それから彼女は、ここに来るまでの出来事を話した。
僕が相槌を打ちながら話を聞いていると、彼女は安心しながら話していた。
ある言葉を言いかけて、彼女はハッとしたような顔をした。