運命は二人を


【孝太side】

親友の和泉が、かつて、あんな目で女性を見たことがあっただろうか。

高校から一緒につるんでいるが、和泉は、もてるわりに、誰でもオーケーではなく、相手を見て付き合う。

家の事情もあり、結婚には、慎重だった。

それなのに、美也にはまってしまっている。

美也は、俺の従兄弟だ。

兄の過保護のおかげで、今まで彼がいたことは、多分ないはず。

たとえ親友の和泉だろうと、大切にしない奴には、渡せない。

30歳を迎え、和泉も俺も、家からはそろそろ結婚をと、急かされ始めた。

やっぱり、レストランのピアノ弾きのバイトなど、やらせなければよかった。

もし、万が一、和泉と美也、と言うことになれば、兄の喬斗(たかと)が黙っては、いないだろうな。

和泉には、悪いが、このまま美也のことを諦めてもらいたい。
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