運命は二人を
【和泉side】
俺は、孝太に彼女のことを聞くかどうか、迷っていた。
孝太の言い方だと、彼女とは、ただの知り合いではなさそうだ。
見合い相手を断らなければ、彼女には、会わせてもらえないだろう。
明日の仕事が終われば、夜の便で帰国しなければならない。
今までのように、コンタクトが取れない訳ではなく、孝太経由ではあるが、会える可能性がでてきた。
焦らず、もう暫く時間を置いてもいいかなと、思った。
翌日、仕事が終わり、空港に向かう。
パリには、仕事で年に何回か来ている。空港内も慣れたものだ。
呑気に歩いていると、彼女の姿が目に入ってきた。
こんなに人が大勢いても、たとえ遠くに居ても彼女を見つけられるとは。