運命は二人を


【美也side】

パリに来ていた兄を空港まで送った。

妹を溺愛する兄は、まるで恋人のように、私の頬にキスをする。

「やめてって言っているでしょ。」

「恋人が出来たら、やめてやるよ。」

「いつも、邪魔をするのは、誰かさんでしょ。」

私だって、今まで声をかけてくれる人が、いなかったわけではない。

上手く行きそうかなというところで、何故か駄目になるのだ。

中学や高校では、わからなかったが、大学に入ってからは、兄の策略かなと、思うことがあった。

まあ、邪魔されても、さほど一緒に居たかった訳ではないから、いいのだが。

おかげで、今まで、男性と付き合うと言うことが、なかった。

友達に言わせると、私は、貴重な琥珀のような存在だそうだ。
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