運命は二人を


【和泉side】

5月に見合いをしてから、もうすぐ三ヶ月。

今日は、めぐみさんの聴きたいと言うバイオリンのリサイタルに来ていた。

バイオリ二スト、池上喬斗のリサイタルだ。

音楽にあまり興味はないが、付き合いだから仕方がない。

せいぜい、寝ないようにしよう。

会場につき、ポスターを見て、俺は自分の目を疑った。

池上喬斗は、シャルル・ド・ゴール空港で、彼女にキスしていた男だ。

とんでもない彼をもっているもんだ。

とても、太刀打ちできはしない。

やはり、彼女とは、縁がなかったのだ。

そう思いつつ、受付に行くと、彼女がいた。

やはり、恋人なのだ。

俺の中に、『なぜ、俺じゃないんだ』と言う思いが溢れ、彼女を睨むように見てしまった。
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