運命は二人を
めぐみさんとは順調に話が進み、秋には結納をしてはどうかと言うところまで、来ていた。
俺も腹をくくり、今夜はホテルを予約していた。もちろん、めぐみさんと関係を持つためだ。
しかし、彼女に会ってしまい、彼女を目の前にして、俺の気持ちが彼女に向かうのを、強く意識した。
やはり、何回デートしても、めぐみさんへの気持ちは、湧かないままなのだ。
きっと、彼女との出会いがなければ、それなりにめぐみさんに好意をもてたかもしれない。
しかし、俺は、彼女に会ってしまったのだ。
結婚前で、よかったと、心から思う。
俺はまだ彼女に何も伝えていない。
このまま流されて、めぐみさんと結婚したくはない。
リサイタルの間、俺は目の前で演奏する池上喬斗を睨み続けていた。
そして、奴に挑む決意を固めた。