運命は二人を
俺は、コンサートが終わると、携帯の着信を確認した。
「めぐみさん、申し訳ないが、一本電話させてください。」
「構いませんよ。」
めぐみさんは、おっとりと答える。
それがお嬢様のスタイルだといわんばかりに。
階段の陰の方に移動して、携帯をかける。
それは、パリの孝太にだ。
まずは、彼女の正体を知らなければならない。
相手を知らなければ、勝負にならない。
「どうした?和泉。」
「東京で彼女に会った。池上喬斗のリサイタルだ。彼女のことを教えてくれ、頼む。 」
「喬斗のリサイタルに行ったのか?お前がクラッシックって、珍しいな。」
「そんなことは、どうでもいい。彼女のことが知りたい。もう、自分でもどうしようもないんだ。」