運命は二人を
俺は、電話を終えると、めぐみさんのもとに戻った。
嘘はいけないが、今回は、許してほしい。
「めぐみさん、本当は、この後、一緒に食事を予定していたのですが、急に仕事が入ってしまいました。申し訳ありませんが、今日は、これで失礼します。」
「まあ、お忙しいのに、お付き合いさせてしまって、すみません。お仕事、行ってください。 」
俺は、めぐみさんをタクシーに乗せ、運転手に多めに札を渡した。
「また、連絡をお待ちしています。」
めぐみさんを見送りながら、多少は、悪い気がした。
しかし、どうしても、今夜、彼女と接触したかったのだ。
彼女に会いたくて、パリまで行った時の気持ちが、戻ってきた。
そう、これは運命なのだ。
彼女と俺の道が、今から始まるのだ。