運命は二人を


【美也side】

初めての恋を自覚し、ほんわかとした気分でいたら、リサイタルを終えた兄に、

「美也、どうした。心ここにあらず、みたいだぞ」

「喬斗、美也ったらね、」

「ちょっと、美智留!」

「あっ、ごめんごめん。」

「なんだよ、二人して。」

そこには、恋人と妹に仲間ハズレにされて、不貞腐れる兄がいた。


兄と美智留は、これから食事にいくそうだが、私は、明日大学があるからと、遠慮した。

当然、お邪魔虫には、絶対になりたくないから。

送ると言う兄を、タクシーで帰るから大丈夫と、過保護過ぎる兄と、やっと離れた。

タクシー乗り場に向かうと、そこには、彼がいた。

とっくにリサイタルの客は、帰ったはずなのに、何故ここにいるのか。
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