運命は二人を
動き始めた二人の運命
【美也side】
名刺を受け取り、立ち去る彼を見つめたまま、私は、しばらく動けなかった。
彼は、いずれ正式に交際を申し込むと言った。
では、一緒にいた女性は、一体だれなのだろうか。
突然、心臓がバクバク言い出した。
これから、何故かはわからないが、激しい流れに飲み込まれるような、錯覚に陥った。
怖いけれど、逃れられないだろうと言う確信めいたものが、私の中にあった。
これは、すでに用意されていた私の進むべき道なのだろう。
それなら、立ち向かうしかないではないか。
彼に再び巡り会えたこと、私は、それを受け入れる覚悟を決めた。
私の人生の大きな節目になるだろう。