運命は二人を


美也の事を言うわけには、いかない。

俺は落ち着いて、

「それは、ありません。僕が、まだ結婚にふみきれないと言うことです。」

「そうですか。」

それからは、無言だった。

俺も、言葉がなかったのだ。

めぐみさんのあまりにも落ち込んでいるようすに。

そして、事は起こった。

その夜、めぐみさんが、自殺を図った。

幸い、なかなかお風呂から出て来ない娘に気がついた母親が、発見し救急車を呼び、大事には、至らなかった。

彼女が、そんなに結婚したかったのか、と俺にしたら、疑問しかわかない。

まだ、見合いをして、わずか三ヶ月だ。お互い気持ちがあったわけでもないのに。

今回の事を、一部始終相談していた孝太に言わせると、偽装自殺ではないかと。

本当に死ぬ気なら、すぐに見つかるような自殺はしないと。

そうだ、彼女の自殺は、家族に見つけてもらい、俺に責任を負わせる気、満々だ。


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