運命は二人を


【美也side】

新しい年が明けた。

彼からは、何も連絡がない。

やはり、あれば、私の勘違いだったの?

もう、彼のことは、考えないようにしようと、私は、レッスンに集中した。

2月末には、卒業コンサートだ。

今までの自分をすべてぶつけて、思い切り演奏したいと思っている。

母が、コンサートの衣装を作ってくれることになり、一緒に出かけた。


ブテック「雅(みやび)」は、母がお気に入りのお店で、いつもオーダーしているようだ。

オーナーの雅さんは、母と同じ歳だそうだが、凄く若く見える。

肩で切り揃えたボブカット、マーメイドラインのワンピース、目は少し垂れ目だが、優しさを醸し出している。背がすらっと高い。以前はモデルをしていたと言うのが、納得できる。

雰囲気は、ホワンとしていて、とても経営者らしくない。
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