運命は二人を


今までのドレスは、できている中から選んでいたが、母曰く、

「もう大人の女として、恥ずかしくないようにしないとね。」

だそうだ。

外側ばかり、変わっても、駄目な気がするが、ここは、大人しく従うのがいいだろうなあ。

ドレスのデザインを選び、採寸をしてもらっている時、

「そういえば、息子さん、結婚は決まったの?」

と、母が雅さんに聞いている声がした。

「それがねぇ、いい感じで、話は進んでいたし、そろそろ結納かなと、思っていたのに、息子から、結婚をやめたいと言ってきてのよ。なんでもね、彼女への気持ちが動かないらしいの。」

「まあ、一生のことだから、よく考えて決めることが大切よね。」

すると、雅さんは、

「美也さんは、決まった方がいるの?」

「さあ、多分いないと思うけど。」

と言うと、カーテン越しに、

「美也、彼氏ができた?」

と、母が私に話を振ってきた。

「えっと、まだ、か、な?」

と、曖昧に答えると、今度は雅さんに、


「ねぇ、どこかにいいお相手、いないかしら?」
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