運命は二人を


【和泉side】

お正月気分も無くなったころ、俺は彼女にどうやって連絡をつけたらよいか、思案していた。

珍しく、母から話があると言われ、リビングに行くと、父と母がコーヒーを飲んでいた。

「久しぶりに、豆を挽いてコーヒーを淹れてみたわ。」

母が豆からコーヒーを淹れる時は、機嫌が良い時だ。
何か良いことがあったのだろう。

「和泉、めぐみさんのことは、もう大丈夫?」


父は、黙って、コーヒーを飲んでいる。

「もちろん。申し訳ないとは思っているけど、生涯を共にしようとは、思えなかったんだ。」

「仕方ないわよ。それも運命よ。
ところで、私のお客様の娘さんが、今年音大を卒業するの。それで、先日卒業コンサートのドレスをオーダーしてくださってね。その時に、和泉と向こうの娘さんを会わせてみようと言う話になったのよ。どうかしら?」

俺は、

『見合いは、ちょっと』

と、すぐに断る。
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