運命は二人を


「とても、綺麗で素敵な女性よ。お母さん、一目で気にいってしまったわ。会うだけ会ってちょうだいね。もう、日取りも決めたし。」

「日取り?」

「そうよ。彼女の卒業コンサートの次の日よ。

「卒業コンサート?」

「その方ね、今年、音大のピアノ科を卒業するのよ。」

「彼女の名前は?」

「ええっと、彼女のお母さんも、元ピアニストで、奥(おく)まちさんと言うの。結婚して、確か、池上まちになったのよ。その娘さんよ。」

「だから、母さん、その娘さんの名前だよ。」

「あっ、そうよね。美也さんっておっしゃるの。」

俺は、母さんに対する感謝の気持ちで、いっぱいになった。

やはり、俺たちは、出会う運命だったのだ。

嬉しい気持ちが、顔にでないように、気をつけて、

「わかったよ。その見合い、してみるよ。」

と、俺は答えていた。
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