運命は二人を
私たちの前に、お二方が、座った。
私は、緊張感が高まっていくのが、自分でもわかり、顔を上げられずにいた。
雅さんが、
「どうも、お待たせしました。」
「いいえ、私たちも、丁度着いたところですよ。」
と、母が答えた。
雅さんが
「これが、息子の和泉です。主人の会社に勤めていて、主に海外との取り引きを担当しているの。だから、忙しいのを理由に、なかなか結婚に踏み切らずに、ここまできてしまって……」
『えっ、い、ず、み?』
思わず私は、顔を上げて、目の前の相手をまじまじとみてしまった。
そこには、悪戯を見破られたらように、うっすらと笑いを浮かべた和泉がいた。
『なぜ、彼が?』