運命は二人を
帰りは、和泉に、今後のことを聞かれた。
私自身も、まだ、迷っている状況で、正直に気持ちを聞いてもらった。
このまま日本で、母の開いているピアノ教室を手伝うのか、プロのピアニストにしぼるか。
プロとしてやるからには、再度フランスに行き、恩師に師事しながら、デビューをしなければならない。
果たして、私のピアノが世界に通用するのだろうか。そんなに、甘くはないのだ。音楽一家に育ったのだから、自分の力はわかっているつもりだ。
その厳しい道を進む決心がつかない。
両親とも、私を尊重して、こうしろとは押し付けてこない。あくまでも自分の道は、自分で選ばせてくれる。
有難い、しかし、祖父、両親、兄たちのように
やっていく自信がない。
私は、和泉の返事を待った。