運命は二人を
俺は、もしかしたら夜のお付き合いが、契約更新の条件かもしれないと感じていた。
《是非、ご一緒させていただきます。では、そろそろ、仕事の話に入ってよろしいでしょうか。》
《そうね。さっさと終わらせましょうか。》
二宮が、書類を出して、確認に入る。今まで以上にヤング向けの購入を増やした条件に満足したのか、それとも別の約束を承諾させたからか、すんなりとサインをしてくれた。
《では、これからもよろしくお願いします。》
《こちらこそ、長いお付き合いをお願いしたいわ。食事の件、後で連絡するから。ひさしぶりだから、楽しみにしているわね。》
《わかりました。では、失礼します。》
メルローズ社を出ると、二宮が、
「専務、いいんですか?彼女も一緒に来ているんでしょ。」
「もちろん、いいわけないだろ。俺には、そのつもりはないよ。大丈夫だ。上手くやるさ。契約してしまえば、こっちのものだから。心配してくれてありがとう。」
「専務、変わられましたね。そんなに彼女を大切にするなんて。」
「どういう意味だよ。」
「いや、別に。」
二宮は、ニヤニヤして、笑っている。俺は、笑いたければ笑えばいいと、開きなおっていた。