運命は二人を


三人で食事を終えて、ロビーに降りて来ると、見たことのある背中。

《あれ、和泉だわ。》

《えっ、彼?美也、紹介してよ。》

《うん、いいよ。》

和泉に近づいていくと、一緒にいるのは、40歳位の綺麗なフランス女性だった。

二人は、向かい合って微笑みながら話をしている。

すると、女性が背伸びをして、和泉の唇にキスをした。それも、ちょっと長いキス。

私は、そこから動けなくなってしまった。

《ヒュー!自分の彼女の前で、他の女とキスか!俺にはできないなあ!》

ルイーズの婚約者、ミッチェルが和泉に向かって、大声で揶揄した。

驚いた和泉は、

「み、や、」

ルイーズは、私の手を握って、和泉の方へ近づいた。

「どうしてここに?」

《はじめまして。美也の友達のルイーズです。こっちは、婚約者のミッチェル。お邪魔だったみたいね。》


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