運命は二人を
帰国したその週末は、和泉は出勤らしく、翌週の土曜日に海を見に行く約束をしていた。
前日の金曜日の夜10時に、和泉から明日は都合が悪くなったと、メールが届いた。
忙しいのだろう。
そういえば、私は、和泉の仕事について何も理解していない自分に気づく。
果たして、結婚して彼と生活することになれば、これでいいわけがない。
私は、メールを返さず、電話をしてみることにした。
『今、大丈夫?』
和泉は、2コールで出てくれた。
『ああ、もう家だから。』
少し、いつもより掠れたような声が聞こえてきた。
『風邪気味なの?』
『少しな。でも大丈夫だ。それより明日はごめん。』
『ううん。仕事、忙しそうだね。』
『フランスに行っていた時の分も溜まっているからな。』