運命は二人を
『熱はないの?咳は?』
『今夜一晩寝れば大丈夫だ。いつもそうだから。』
『明日も仕事?』
『先方がアメリカから明日着くんだ。だから明日会うことになって…。来週は休めるから、海に行こうな。』
『わかった。無理しないでね。体は大事にしないと。』
私は、心配しながら電話を終えた。
明日も、連絡して様子を聞いてみよう。
私たちは、いつも外で会うから、まだ和泉の家に行った事がない。
確か実家の近くのマンションに一人で住んでいるらしい。
具合が悪いなら一人では大変だろうと思う。
もし、明日の様子で家を訪ねた方がいいかな。
今の私は、自分の将来よりも、和泉の事ばかりが頭の中を占めていることに気づいていた。
そして、和泉と一緒に暮らす将来の生活へ、意識が向いていることもわかっていた。