運命は二人を
玄関のドアが開いた。
中から出てきたのは、30代半ばくらいの女性。
「はじめまして。私は和泉の叔母で、琴音。姉が和泉の母親なの。よろしくね。」
「こ、こちらこそよろしくお願いします。ええと、和泉さんの具合いは、どうですか?」
「会社で、熱を出してね。病院で点滴してきたから、じきに良くなるとは思うけど。」
琴音さんは、和泉と同じ会社で、デザイナーの姉の助手的な存在だそうだ。
明日の朝、アメリカに出張に行かなければならず、和泉の世話が出来なくてどうしようと思ってたところに、私からの連絡があり、今の状況に至ったわけだった。
ちなみに、母親は、昨日アメリカに発ったそうだ。
「私が、ここでお世話をしても?」
「もちろんよ。恋人でしょ。誰にも遠慮はいらないわ。…でも、和泉が起きたらびっくりするわね。」
「ええ、私もそう思います。でも、私でよければ、和泉さんの役に立ちたいですので。」