運命は二人を


俺は、孝太にこれ以上、弱みを握られたくなかったから、彼女のことは一切触れずに、食事を終えた。


別れ際に、孝太が、

「今回、重要な案件もないのに、パリに来た目的は、彼女だな?」

「想像にまかせるよ。」

「もし、彼女について知りたかったら、俺はいつでも教えるからな。ただし、見合い相手とのことをキチンとしてからだ。 」

「わかってる。」

俺は、自分の中でも、どうしたいのか、はっきりしては、いなかった。

しかし、しだいに俺の中の彼女の存在が、大きくなって行くのを、俺はその後知ることになる。
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