君がいなくなるその時は


「なに…、それ」


この男の姿は………わたしにしか見えない?

そんなまやかし誰が騙されるか。


「ん〜まやかしか。まやかしじゃない、本当のことだから」


「えっ………今、わたし声に出てた?」


「違う。出てなかった」



じゃあコイツは、わたしの心の声を読み取ったってこと?何それ。いやいやおかしい。はっ?何で?

あ、でもさっきも確か…。


『お前たち人間は2位で心残りとか、わがままな奴らだな』


わたしの心の声が聞こえてたから言えることだよね?


じゃあ一体………何者?


「あぁ。自己紹介がなかったな。俺は、死神だ」


「…………………………は?」


目の前にいる男は真剣な顔でそう言った。自分は死神だ、と。

数秒の沈黙の後、わたしは笑いが込み上げてきた。


「アハハハッ!え、死神?わたしのことバカにしてる?」


「別にしてない」


「さっきから言ってることがおかしいんじゃない?わたしにしか見えないとか死神だとか。わたし高校生だよ?そんなウソに騙されるほど単純じゃない!」



こんなの信じるも何も、ありえないじゃないか。死神なんてこの世にいないんだし。


「まぁな、確かにこの世にはいねぇな。死神界にはいるけど」


なんでこの人はこんな真面目な顔でこんなバカげたことを言えるんだろうか。


「とにかく、わたしは今日学園祭なの。こんな冗談に付き合ってる暇はないってこと。分かったらさっさと出てって!」


「待て」


わたしはドアノブに手を掛けた。
だが、死神だとかいう謎の男に止められた。

あぁ、この人本当にヤバイ人?一応警察に連絡入れといた方が良いかな。


「お前に言わないといけないことがある」


「…なんですか?」


「河野大聖」


「………は?」


大聖………?


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