テディベア
お父さんは医師だ。
「ねぇねぇ、私倖田來未のCDが欲しいんだけど」
紫織はソファーから起き上がりお母さんに言う。
「はいはい。お父さんがいいって言ったらね」
お母さんは呆れ顔でエプロンをつけていた。台所へ向かい、夕食の準備を始めた。
「そのさぁ。何でも感でもお父さんに聞くっていうの止めない」
紫織は眉間にシワを寄せ、台所に立つお母さんの隣に立つ。
「あんたが口をだすことじゃないでしょ?早く着替えて宿題しなさい」
「はい」
口を尖らせながら紫織は2階の部屋まで足を引きずり向かった。