過保護な騎士団長の絶対愛
 ユリウスがいないとなんとなく不安だ。

 昨夜はレオンという偶然通りがかった旅の男に助けられた。しかし、今は誰も護衛がいない。

「いったいどういうつもり?」

 庭園に着き、身の回りに人気がないことを確かめると、ララは厳しい口調でガイルに問いただすように言った。

「そんな警戒しないでください。私があなたを気に入ったということは真実です」

「私は、あなたが嫌い」

 ララはガイルに不信感をぬぐえない、と言ったように表情を険しくさせた。

「ふふ、はっきりしていて、口説き甲斐がありますね」

 ガイルはそんなララにクスクスと小さく笑う。

 芝生がサクサクと踏み鳴らされて、天気は穏やかだというのにララの胸は晴れなかった。城からあまり離れては危険かもしれない、という警戒心を持ち、ララはぐっと胸元で拳を握った。

「モリス様は、我が国のこと、ご存じないようでしたね。モリス様ならご存知かと思いましたが……」

 ガイルが先ほどとは違う冷めた表情に変わる。昨夜の雰囲気と同じだ。ガイルが口を開くたびに、ドクンドクンと心音が大きくなる。
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