過保護な騎士団長の絶対愛
 髪紐を食い入るように見つめながら、険しい表情になっていくユリウスにイザベルが不穏なものを感じ、名前を呼ぶ。


 床から拾いあげると見覚えのある赤い髪紐……。それは、間違いなくララのものだった。ユリウスに嫌な予感が走る。


 なぜ、ここにララ様の髪紐があるんだ――?

 まさか、ララ様になにかあったのでは――?


 頭の中で様々な憶測が飛び交う。

 ガタン! と大きな音を立ててユリウスが椅子から立ち上がると、ティナが驚いて部屋の隅へ飛んだ。

「嫌な予感がする……」

「え? ユリウス? ちょっと、まっ――」

 そう言って、ユリウスは荒々しく部屋のドアを開けると、呼び止めるイザベルの声を背に外へ飛び出していった。
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