過保護な騎士団長の絶対愛
「誰……？」

「サランと申します。ガイル様より言いつかり、お世話をさせていただきます」

　ということは、監禁されている場所はガイルの城なのだ。と、ひとつひとつ現状が明らかになっていく。薬を嗅がされた余韻にまだ頭がぼんやりする。

「ここはコルビスからどのくらい離れているの？」

　ララは気怠い身体をゆらりと起こしてサランに言った。

「詳しいことはお答えできかねます。私はただ、姫様の身の回りのお世話をするだけと言い使っておりますので。姫様がどこのお国の方なのかも存じ上げません」

　淡々とした口調に氷のような冷たさを感じる。女性だからと言って油断はできない。すると、サランが着替えのドレスを手にララのベッドに歩みよってきた。

「姫様は一日、ずっと眠り続けておりました。目が覚め次第、湯浴みさせるようにガイル様から言われております」

「湯浴みくらいひとりでできるわ。ずっと私についていなくても、あなたもお休みになったら？」

「いえ、姫様にお仕えするのが私のお役目でございます。お役目に沿わないことをすれば、ガイル様のお叱りを頂戴してしまいます」

　サランが静かに答えると、ララは重くため息をついた。


　無駄に抵抗しても意味はなさそうだ。ララはそう悟ると、おとなしく湯浴みに向かうためにベッドからゆっくり立ち上がった。
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