過保護な騎士団長の絶対愛
「私がユリウスに出会ったのは十年前、どこから来たのか全く知らなかったけど、私の守護騎士としてずっと傍にいてくれたのよ」


「そうだったのですか、あぁユリウス様……コルビスで生きておいでだったのですね」

 サランは胸の前で手を組みながら、喜びをかみしめるようにぎゅっと目を閉じた。サランはその時、モリスがおそらく身寄りのなくなった幼いユリウスをコルビスに連れて行ったのだろうと悟った。


「でも、わからないわ、ガイルはどうしてユリウスを標的としているのか」

「そんなことを、ガイル様が?」

 サランの反応を見ると、どうやらガイルの目論見は知らなかったようだ。

「初めは私になにか恨みでもあるのかと思ってた。けど、私はユリウスを呼び寄せる囮だって、そう言ったわ」

「囮……それならば、ユリウス様はここへ向かわれているということですね?」

「……わからないわ」

 きっとユリウスなら助けに来てくれる。という甘えが自身で許せなかった。もとあといえば、ここへ連れてこられたのも自分に隙があったからで、ユリウスの責任ではない。


「でも、私を助けることでユリウスになにかあったら……怖いわ、ユリウスは……大切な人なの、私のせいでもしものことがあったら、きっと耐えられない」

 ララはぐっと格子を掴むとこみあげてくる感情に口を押えた。瞬きをすると、瞳に溢れていた雫がぽろりとこぼれた。

「ユリウス、ユリウス……ユリウス」

 ララはユリウスの名前以外の言葉を忘れ去ってしまったかのように、何度も彼の名前を呼んだ。
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