過保護な騎士団長の絶対愛
どんなにひどい仕打ちをされたとしても、ガイルはこの世でたった一人のユリウスの身内であることには変わりはない。自分の手で、家族を殺した十字架をユリウスに背負って欲しくはなかった。

「ユリウス、私を守ってくれた時のあなたは最高にかっこよかったわ」

「なんですか? もしかして、今頃気が付いたのですか?」

 口づけをしては離れを繰り返す。

「ララ様……」

「ユリウス……」

意味もなく互いの名前を呼び合う声すら甘い。

 ララがそっと閉じた瞳を薄っすら開けると、白々と夜が明ける前の、深い濃紺の空がまだたゆたっていたのが見えた。
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