過保護な騎士団長の絶対愛
時を得て
「ふん、ユリウスも暇だな、こんなとこに何のようだ?」

「別に、さして用はないが、捕えた囚人の様子を確認するのも俺の仕事だからな」

 シェリア王国から戻って一週間。

 ララを救出する際に負った怪我もなんとか癒え、ユリウスは、コルビス軍によって捕らえられたガイルが収容されているカラマ監獄へ来ていた。

王都より北に外れた寂れたところにあり、監獄を置くには似合いの場所だった。鉄格子の向こうには、ふてくされたように地べたに胡坐をかいて座るガイルがいた。

ガイルはコルビス王国第三王女拉致監禁、おまけに殺人未遂の大罪を課せられている。

このような狭い場所に収監され、辟易しているのか無精ひげが生え、頬がほんの少しこけてやつれたように見えた。

「拘束される気分はどうだ? まるで幽閉されてた時の俺を見ているようだな。お前はこうして地下室に閉じ込められている俺を見て笑っていただろう?」

 ユリウスが揶揄交じりに言うと、ガイルはフンと鼻を鳴らして目を逸らした。

「いつまでも根に持ちやがって」

 ガイルは牢獄に入って頭を冷やしたのか、憑き物が落ちたように今は冷静に落ち着きを取り戻している。

「サランはどうしている? あの女にはたっぷりお礼がしたいからな」

「そう思っている間はここから出られんだろうな」

 ユリウスは立ちながら壁に背を持たれて腕を組む。

「……お前はうらやましいやつだったよ」

 会話が途切れたと思うと、ガイルが小さくぽつりと呟いた。
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