過保護な騎士団長の絶対愛
「昔から、俺よりも勉学も身体能力もすべてにおいて上だったお前がうらやましかった。母上はお前を妬んで地下室に幽閉したが、才能を持ったお前をまるで宝物をかくまっているように俺には見えた」

 ガイルが自嘲するように小さく笑った。

「宝物……か」

 宝物を扱うにしては随分な扱いを受けた。思い違いもいいところだ。

「ひとつ、聞きたいことがある」

 ユリウスが言うと、ガイルが徐に顔を上げた。

「父上はなぜ死んだ?」

 いまさら父、クリフトの死因などどうでもよかったが、もしガイルが知っているのなら聞いておくのも悪くない。

「あの時……」

 それは、ガイルにとって思い出したくない過去なのか、眉を潜め、重い口をゆっくりと開いた。

「父上は人払いをしたかと思ったら……俺の目の前で自害した。国が滅びるとわかった途端気が狂ってな」

 目の前で父親が死ぬ光景は、その当時のガイルにとっては衝撃的だっただろう。その瞬間、ガイルの心に誰にも正すことのできない歪みが生じてしまったのではないかと思う。
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