過保護な騎士団長の絶対愛
 今日は水曜でユリウスから算術を習う日だった。幼少の頃にろくに机に向かわなかったつけが十八歳になっても付きまとっている。王族たるもの、頭脳にも長けていなければならない。わかっていてもこの時間だけは苦痛だった。

「こう天気もいいと、どうしても集中できなくて……」

「おおかた視察にでもでかけようと、そのことばかり考えているのでは?」

「当たり!」


 ニコリと笑ってなんとかユリウスのご機嫌をとろうとするも、ユリウスは表情を変えずものともしない。


 公務の一環として、ララは定期的に王都へユリウスと出かける。国民と触れ合うため、交流を深めるためと言うのは建前で、退屈な城での生活から逃れて羽を伸ばしたいというのが本当のところだった。おそらく察しのいいユリウスもすべてお見通しだろう。

「そうですね、先日の視察では途中で大雨に見舞われて中止になってしまいましたし、久しぶりに――」

「ね! ね! そうでしょう?」


 ユリウスが珍しくその気になっている。ララは開いていた教書をさっさと閉じてユリウスの様子を窺う。

「ただし、今から出す問題を全部正解できたら、午後にでも視察に出かけましょう」


 も、問題――?
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