過保護な騎士団長の絶対愛
「その舞踏会は仮面舞踏会だ。警護にあたり、染色粉をイザベルに用意させろ。皆が仮面を装っているというのに、素顔でいると逆に目立つ。言っていることは理解できるな?」


「はっ」


 一国の重鎮に睨まれるようにすごまれると、否定はできない。ようするに、ララ本人にもわからないようにして舞踏会の間に潜入警護にあたれという命令なのだ。確かに、壁際に立って仮面もしてなければ、すぐに警護陣だと知れてしまう。それはそれで牽制にもなるが、よからぬことをしでかす輩を泳がせるには自らも変装が必要ということだ。



 そんな事情があって、ユリウスはイザベルに必要な道具を依頼した。 


 ――これで今度の舞踏会でララ様に近づくって、警護以外にも目論見があるんでしょ?


 城の門をくぐり、ふと先ほど言われたイザベルの言葉を思い出した。

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