過保護な騎士団長の絶対愛
すべてのはじまり
十八年後。
「ララ様! ララ様お待ちください!」
コルビスの城内で、侍女の張り上げた声が響く。
待てって言われて待つ人なんかいないっての――。
コルビス王国第三王女であるララ・アントリア・ウェインは息を乱すことなく石造りの階段を軽快に駆け上がっていく。侍女の呼び止める声が遠のいて、ララは廊下を走りぬけると、一番奥にある部屋にノックもなしに飛び込んだ。
「はぁ……」
大きく息をつく。
ダークブラウンの腰まで伸びた長い髪を掻き上げると、ララは驚いた顔をした目の前の人物に、ヘーゼル色の大きな瞳を和らげて、いたずらげにニコリと笑った。
「ララ様……私の私室に勝手に入ってきてはいけません、とあれだけ言ったでしょう?」
後頭部でまとめ上げた背中まである白銀の髪を揺らし、ララの守護騎士であるユリウス・メルヴィンは、身なりを正すように白い麻のシャツの襟を整える。春の日当たりのいい窓際で読んでいた本をぱたんと閉じると、ユリウスはララを困ったように見つめた。
「ララ様! ララ様お待ちください!」
コルビスの城内で、侍女の張り上げた声が響く。
待てって言われて待つ人なんかいないっての――。
コルビス王国第三王女であるララ・アントリア・ウェインは息を乱すことなく石造りの階段を軽快に駆け上がっていく。侍女の呼び止める声が遠のいて、ララは廊下を走りぬけると、一番奥にある部屋にノックもなしに飛び込んだ。
「はぁ……」
大きく息をつく。
ダークブラウンの腰まで伸びた長い髪を掻き上げると、ララは驚いた顔をした目の前の人物に、ヘーゼル色の大きな瞳を和らげて、いたずらげにニコリと笑った。
「ララ様……私の私室に勝手に入ってきてはいけません、とあれだけ言ったでしょう?」
後頭部でまとめ上げた背中まである白銀の髪を揺らし、ララの守護騎士であるユリウス・メルヴィンは、身なりを正すように白い麻のシャツの襟を整える。春の日当たりのいい窓際で読んでいた本をぱたんと閉じると、ユリウスはララを困ったように見つめた。