過保護な騎士団長の絶対愛
誘拐
――あぁ、あなたなんて生まれてこなければよかったのよ!
――人目に触れないよう、閉じ込めておきなさい!
誰の声なのか、誰に言われているのかわからない。わかることは、目の前にいる人、全員が自分を忌み嫌っているということだけだった。
「ッ――」
バサッ! という物音に、ユリウスはハッと目が覚める。
「また、あの夢……か」
この夢を見たのは初めてではない。幼い頃からこの悪夢に悩まされていた。最近は落ち着いてきたというのに、久しぶりの悪夢だった。
くだらない――。
昨夜の舞踏会を終え、少し疲れがたまっていたようだ。ユリウスは、いつもの窓際に座り、本を読んでいたが、いつの間にか昼下がりの午後についうとうとと居眠りをしていたようだ。目が覚めると辺りが明るくて幸いだった。気分もすぐに切り替えられる。
ユリウスは手から落ちた本を拾い上げ、ハァと小さくため息をついた。
テーブルの上には今朝、侍女が飾っていった朝摘みの百合がガラスの花瓶に生けられていて、花びらには瑞々しい雫が太陽の光を浴びて光っている。そしてその花瓶の横には昨夜使った、染色粉が入っていた空の容器が転がっている。
今は綺麗に髪を洗い流し、いつもの自分の髪色に戻っていた。
――人目に触れないよう、閉じ込めておきなさい!
誰の声なのか、誰に言われているのかわからない。わかることは、目の前にいる人、全員が自分を忌み嫌っているということだけだった。
「ッ――」
バサッ! という物音に、ユリウスはハッと目が覚める。
「また、あの夢……か」
この夢を見たのは初めてではない。幼い頃からこの悪夢に悩まされていた。最近は落ち着いてきたというのに、久しぶりの悪夢だった。
くだらない――。
昨夜の舞踏会を終え、少し疲れがたまっていたようだ。ユリウスは、いつもの窓際に座り、本を読んでいたが、いつの間にか昼下がりの午後についうとうとと居眠りをしていたようだ。目が覚めると辺りが明るくて幸いだった。気分もすぐに切り替えられる。
ユリウスは手から落ちた本を拾い上げ、ハァと小さくため息をついた。
テーブルの上には今朝、侍女が飾っていった朝摘みの百合がガラスの花瓶に生けられていて、花びらには瑞々しい雫が太陽の光を浴びて光っている。そしてその花瓶の横には昨夜使った、染色粉が入っていた空の容器が転がっている。
今は綺麗に髪を洗い流し、いつもの自分の髪色に戻っていた。