過保護な騎士団長の絶対愛
正面の大きな扉が兵士によって左右に開かれると、だだっ広い空間が目の前に広がる。ララは玉座まで続く深紅の絨毯をゆっくりと歩み進む。謁見の間では外部から来た者を通す場所でもあり、万が一に備えて左右の壁際にはモリスの近衛たちが相変わらず無表情に居並んでいた。
誰かいる――。
モリスの前で傅いている男が目に入り、ララがその人物の横に並ぶと顔をちらりと覗き見る。
「あなたは……!」
ライトブラウンの短髪、その姿には見覚えがあった。その男はララに気づくと、ゆっくり立ち上がり、今度はララへ左胸に手をあてがい片膝をついて傅いた。
「昨夜は私の手を取り、栄誉を賜りまして深く御礼申し上げます。ララ王女」
「ファビオ……?」
仮面を外した彼の素顔を見たのは初めてだった。昨夜とは違い、公務の軍服を身にまとっていて雰囲気が違っていた。素顔は端整な顔立ちで、健康そうに日に焼けている。そしてきりっとした双眸は勇ましさを感じた。荒々しい気質の持ち主かと思っていたが、モリス国王の面前のため幾分、畏まっている。
「このたびは、もう一度ララ様のご尊顔を拝謁の栄誉を賜りたく、罷り越して御座います。ガイル・レオットと申します」
「ガイル……レオット?」
ファビオという名前は偽名だったのね――。
誰かいる――。
モリスの前で傅いている男が目に入り、ララがその人物の横に並ぶと顔をちらりと覗き見る。
「あなたは……!」
ライトブラウンの短髪、その姿には見覚えがあった。その男はララに気づくと、ゆっくり立ち上がり、今度はララへ左胸に手をあてがい片膝をついて傅いた。
「昨夜は私の手を取り、栄誉を賜りまして深く御礼申し上げます。ララ王女」
「ファビオ……?」
仮面を外した彼の素顔を見たのは初めてだった。昨夜とは違い、公務の軍服を身にまとっていて雰囲気が違っていた。素顔は端整な顔立ちで、健康そうに日に焼けている。そしてきりっとした双眸は勇ましさを感じた。荒々しい気質の持ち主かと思っていたが、モリス国王の面前のため幾分、畏まっている。
「このたびは、もう一度ララ様のご尊顔を拝謁の栄誉を賜りたく、罷り越して御座います。ガイル・レオットと申します」
「ガイル……レオット?」
ファビオという名前は偽名だったのね――。