愛故に舞うペタル

バンッ!
「おせぇんだよ!!!!!」


リビングから勢いよくやって来たのは、


「……お父さん…ただいま…。」


「お父さん??何言ってんだ花音…酒がなくなったんだよ、早く買ってきてくれ。」


空のビール缶を持った父を見て私は首を横に振る。

ただいまの返事は今日もない。



「…まだ未成年だしお酒は買えないよ。」



こんなこと言っても無駄なのは分かってる。 それでも毎回否定しないと、この人の闇に飲み込まれ、誰も止められない気がしたから。



「は…?!誰に向かって口聞いてんだ!!!」

「っ…!!!!!」




パーンッ!!




この家は毎日蒸し暑い。
顔が火照るのは夏のせい。



いいや。叩かれたからかな。
< 2 / 3 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop