王太子殿下は無垢な令嬢を甘く奪う
自分より格下の爵位の後継者であることを知っても、フレイザーに対して憧れすら抱いていたのは、ウィルがまだ子どもだった頃。
ウィルよりも随分早く大人になっていた兄貴分は、いつしか知らない顔を持つようになっていた。
それを知った時、自分がどこで何をしていたのかは記憶にない。
覚えているのは、木陰の涼しさと蝉の声。
そして、涼し気な風に紛れて流れてきた人の囁き声。
それを辿った先で見つけたのは、木陰で喘ぐ女の身体を貪るフレイザーの姿。
頼もしく勇敢なフレイザーとはかけ離れた、欲にまみれた獣のような彼の姿に、ウィルは激しい衝撃を受けた。
欲望のままに女を扱うような男なのだと思い知らされたあの日以来、憧れは嫌悪に変わった。
そんなウィルの気持ちの変化を知り、フレイザーもまた開き直ったかのように女の話を聞かせるようになった。
ウィルが十六で騎士の学舎に通い始めた頃には、フレイザーの妹との情交の手引きも画策されたこともある。
ウィルよりも随分早く大人になっていた兄貴分は、いつしか知らない顔を持つようになっていた。
それを知った時、自分がどこで何をしていたのかは記憶にない。
覚えているのは、木陰の涼しさと蝉の声。
そして、涼し気な風に紛れて流れてきた人の囁き声。
それを辿った先で見つけたのは、木陰で喘ぐ女の身体を貪るフレイザーの姿。
頼もしく勇敢なフレイザーとはかけ離れた、欲にまみれた獣のような彼の姿に、ウィルは激しい衝撃を受けた。
欲望のままに女を扱うような男なのだと思い知らされたあの日以来、憧れは嫌悪に変わった。
そんなウィルの気持ちの変化を知り、フレイザーもまた開き直ったかのように女の話を聞かせるようになった。
ウィルが十六で騎士の学舎に通い始めた頃には、フレイザーの妹との情交の手引きも画策されたこともある。