王太子殿下は無垢な令嬢を甘く奪う
 貞操は死守したものの、欲に塗れた大人の観念にウィルは辟易してしまったのだ。

 そんなときに出逢ったのが、あの無垢なエメラルドの瞳を持つ美しい少女だ。


 ……マリーアンジュ……。


 その姿を思い描いただけで、心が洗われるようだ。

 マリーが社交デビューを果たす頃には、自分も堂々と王家の後継者だと名乗り出ることができる。

 そして彼女を花嫁候補として、いや、未来の王妃として指名できる立場になる。

 元々何の接点もない伯爵家の娘。

 彼女との繋がりを自然に持つことができるのが、ウィルの成人祝賀のパーティ、のはずだった。
< 101 / 239 >

この作品をシェア

pagetop