王太子殿下は無垢な令嬢を甘く奪う
「お前があの娘に執心しているのなら、私はあの娘を花嫁にする」
間近に迫る暗黒の瞳が、ウィルに圧倒的な野望を突きつけてくる。
ウィルとマリーの仲を確信しているからこそ、フレイザーはあえてそれを阻もうとしているのだ。
「一度婚約の儀を挙げれば、以後の撤回は大罪になるからな。手配は早急に進めようぞ」
「フレイザー……!」
「お前は大人しく、私の可愛い妹との結婚を果たしていればいい」
王家の理不尽なしきたりに逆らうなというフレイザーに、焼け付くような嫉妬と焦燥がウィルを苛立たせる。
再び掴む手に力を込めるも、ニヤつくフレイザーには堪えないらしい。
「あの娘は、お前の素性を知っているのか?」
まだ勝負すらしていないのに、勝ち誇ったような顔をするフレイザー。
いやらしく放たれた言葉に、ウィルは一瞬怯んでしまった。
「やはり明かしていないのか。面白いじゃないか」
くく、と喉を鳴らして笑う黒の紳士は、ウィルの両腕を掴んで引き剥がし、そのままソファに倒して押さえつけた。
間近に迫る暗黒の瞳が、ウィルに圧倒的な野望を突きつけてくる。
ウィルとマリーの仲を確信しているからこそ、フレイザーはあえてそれを阻もうとしているのだ。
「一度婚約の儀を挙げれば、以後の撤回は大罪になるからな。手配は早急に進めようぞ」
「フレイザー……!」
「お前は大人しく、私の可愛い妹との結婚を果たしていればいい」
王家の理不尽なしきたりに逆らうなというフレイザーに、焼け付くような嫉妬と焦燥がウィルを苛立たせる。
再び掴む手に力を込めるも、ニヤつくフレイザーには堪えないらしい。
「あの娘は、お前の素性を知っているのか?」
まだ勝負すらしていないのに、勝ち誇ったような顔をするフレイザー。
いやらしく放たれた言葉に、ウィルは一瞬怯んでしまった。
「やはり明かしていないのか。面白いじゃないか」
くく、と喉を鳴らして笑う黒の紳士は、ウィルの両腕を掴んで引き剥がし、そのままソファに倒して押さえつけた。