王太子殿下は無垢な令嬢を甘く奪う
「さあ、果たして、貴殿が王太子だと名乗られたとき、……あの娘が今まで通り、“ウィル”として接してくれるかどうか、見ものでございますな」
物言いこそ丁寧ではあるけれど、それが逆に馬鹿にされているようで、ウィルはフレイザーをきつく睨みつける。
口角を吊り上げ愉快そうに肩を揺らすフレイザーは、振り返ろうとした身体をにわかにピタリと止める。
「……何か殿下に無礼でも働かれましたか、フレイザー様」
背後から忍び寄って来ていたミケルは唸るように呟き、刺すような目つきでフレイザーを睨む。
フレイザーの背中には鋭利な切っ先が当てられ、今まさに血肉をつんざかんとばかりに光っていた。
「ミケル、よい」
ウィルは忠実な家臣の従順さと優秀さにあらためて感心し、剣を収めるよう制する。
「相変わらず、腕が立つなミケル」
睨みをきかせたまま素直に剣を仕舞うミケルから、フレイザーは少しの動揺も見せずに離れた。
物言いこそ丁寧ではあるけれど、それが逆に馬鹿にされているようで、ウィルはフレイザーをきつく睨みつける。
口角を吊り上げ愉快そうに肩を揺らすフレイザーは、振り返ろうとした身体をにわかにピタリと止める。
「……何か殿下に無礼でも働かれましたか、フレイザー様」
背後から忍び寄って来ていたミケルは唸るように呟き、刺すような目つきでフレイザーを睨む。
フレイザーの背中には鋭利な切っ先が当てられ、今まさに血肉をつんざかんとばかりに光っていた。
「ミケル、よい」
ウィルは忠実な家臣の従順さと優秀さにあらためて感心し、剣を収めるよう制する。
「相変わらず、腕が立つなミケル」
睨みをきかせたまま素直に剣を仕舞うミケルから、フレイザーは少しの動揺も見せずに離れた。