王太子殿下は無垢な令嬢を甘く奪う
*
バークレー国の王城内は、大勢の招待客で賑わっていた。
アンダーソン家の社交パーティーとは比べ物にならない程の人の数と、彼らの身分の高さは絢爛だ。
あちこちで国政の話や跡継ぎの候補など、周辺国の国王や王女達が、国家単位の言葉で会話をしていた。
そんな中、マリーは俯いたままで入場する。
式典のための華やかな装飾や、周囲の人々を見ることなく、足元の石畳を視界に流す。
この大きな城のどこかに彼がいると思うと、彼を想う心がすぐさま飛んで行ってしまいそうで、足元だけを見て必死でそれに堪えていた。
「あれがアンダーソン家の子息ね。最近爵位を継いだとか」
「お隣の令嬢は? 見ない顔ね」
「なんでも、とうとう身を固められるらしい」
「え!? フィアンセ!?」
白地に黒のレースをあしらったドレスの裾を蹴りながら、足を進める度に届く囁き声。
溢れかえる招待客の誰もが、フレイザーの隣に並ぶマリーを婚約者だと認識しているようだ。
バークレー国の王城内は、大勢の招待客で賑わっていた。
アンダーソン家の社交パーティーとは比べ物にならない程の人の数と、彼らの身分の高さは絢爛だ。
あちこちで国政の話や跡継ぎの候補など、周辺国の国王や王女達が、国家単位の言葉で会話をしていた。
そんな中、マリーは俯いたままで入場する。
式典のための華やかな装飾や、周囲の人々を見ることなく、足元の石畳を視界に流す。
この大きな城のどこかに彼がいると思うと、彼を想う心がすぐさま飛んで行ってしまいそうで、足元だけを見て必死でそれに堪えていた。
「あれがアンダーソン家の子息ね。最近爵位を継いだとか」
「お隣の令嬢は? 見ない顔ね」
「なんでも、とうとう身を固められるらしい」
「え!? フィアンセ!?」
白地に黒のレースをあしらったドレスの裾を蹴りながら、足を進める度に届く囁き声。
溢れかえる招待客の誰もが、フレイザーの隣に並ぶマリーを婚約者だと認識しているようだ。