王太子殿下は無垢な令嬢を甘く奪う
ある日、生け垣に囲われた庭の隅で、少女が名前も知らない小さな花を見つめていると、緑の壁の外から声が聴こえてきました。
とても凛々しく、澄んだように通る声音。
少女は、聴いたことのない耳触りのいい声がどうしても気になり、緑の壁の隙間から顔を覗かせました。
まず少女が見たのは、茶色い艶々とした毛並みの馬。
そして、その馬に跨がっていた、サファイア色の瞳をした黒髪の凛々しい青年でした。
十二年間生きてきて、父親以外の異性を初めて見た瞬間でした。
刺すような視線を送る少女に、不意に振り返ってくる青年。
少女の心臓は、驚きと恐怖に大袈裟な鼓動を打ち、抑え切れない好奇心にエメラルドグリーンの瞳を爛々と見開きました。
しっかりと視線を交わした青年もまた、その途端に馬の手綱を引くと、少女の瞳に吸い込まれるように足を止めました。
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このお話は、そんな瞬間から始まったふたりの物語です。
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とても凛々しく、澄んだように通る声音。
少女は、聴いたことのない耳触りのいい声がどうしても気になり、緑の壁の隙間から顔を覗かせました。
まず少女が見たのは、茶色い艶々とした毛並みの馬。
そして、その馬に跨がっていた、サファイア色の瞳をした黒髪の凛々しい青年でした。
十二年間生きてきて、父親以外の異性を初めて見た瞬間でした。
刺すような視線を送る少女に、不意に振り返ってくる青年。
少女の心臓は、驚きと恐怖に大袈裟な鼓動を打ち、抑え切れない好奇心にエメラルドグリーンの瞳を爛々と見開きました。
しっかりと視線を交わした青年もまた、その途端に馬の手綱を引くと、少女の瞳に吸い込まれるように足を止めました。
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このお話は、そんな瞬間から始まったふたりの物語です。
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